2013年5月19日日曜日

起業の学校 "Yコンビネーター" を読み終えて

"Yコンビネーター"を知っていますか?

聞きなれない方のためにご説明すると、「Yコンビネーター」とはアメリカのシリコンバレーを拠点にしているベンチャーキャピタルの名前です。

この時点でカタカナだらけで意味がわからないよキャシーさん、という人もいるかと思いますが、要はこういうことです。

「いいアイデアを思いついたぞ!僕はパソコンでプログラムも書けるし、これは良いビジネスになるはずだ!でも・・・会社を作るにはお金もかかるし、人を雇ったりオフィスを借りたりするのにもお金がかかるな・・今の僕の状態じゃとてもそんなお金払えない・・」

「ハイ!そんな時こそYコンビネーター!私たちは、あなたのように夢と野望を持っていてウェブサービスを作れる人に対して、必要なお金を投資するよ。もちろん、銀行と違って融資ではなく投資なので、失敗しないでも返さないでいいよ」

「え!そんな天使のような人がいるのか!じゃあ1億円ください」

「あのね、ただ簡単にお金ください、じゃダメなの。あなたが何を考えて、どうビジネスを伸ばしていこうと考えていて、誰とそれをやるのか、とか。きちんとビジネスプランを見せてくれなきゃダメよ」

「分かりました!今すぐ事業計画書を作ります!!」


相当色々な部分を端折って書いていますが、要はこういうことです。
Googleもfacebookも、今では世界中で知らない人がいないくらい大きな組織になりましたが、元々立ち上げの時には同じような問題に直面して、ベンチャーキャピタルからの支援を仰いでいました。



さて、そこでYコンビネーターですが、どういうところが特徴的なのか?というと、

・投資としては極めて少額の融資(300~1000万円ほど)を
・20代前半の若い起業家たち中心に投資を行なって
・3ヶ月間のあいだ、開発のフィードバックを週に1度行い、
・時にはビジネスモデルの転換やアドバイスも綿密に行い、
・3ヶ月後の「デモ・デイ」と言われる試作品発表会を開いてくれる

というベンチャーキャピタルなのです。

ここまである意味「学校」のようにシステマチックになったベンチャーキャピタルはこのYコンビネーターが先駆けで、日本ではサムライ・インキュベートなどが同じように若い起業家たちに少額融資をするので有名です。

3ヶ月間の開発の苦節を乗り越えて、若者たちは「デモ・デイ」に参加するのですが、そこにはYコンビネーターのつながりであのGoogleやfacebookに投資をした有名な投資家たちが一同に集まります。

・お金も何もないけれど夢だけはある若手起業家が
・Yコンビネーターから小額の融資を受けて3ヶ月間必死にサービスを作り
・そして「デモ・デイ」では更に有名なベンチャーキャピタルから数億円〜数十億円の出資を受けて
・あれよという間に世界中で誰もが使うようなサービスに!

というのがYコンビネーターを通じた「シリコンバレー・ドリーム」となっているわけです。

日本でも多くの人が使っている「Dropbox」というオンラインストレージサービスや、「Air BnB」という、自宅を留守中に他の人に宿泊施設として貸し出してしまおう!といった世界で爆発的に成長している(日本はまだまだだけどね)サービスも、元々はYコンビネーターの卒業生なのです。

シリコンバレーには、こうして起業家と投資家が次のGoogle,facebookを生み出す独特のエコサイクルが発達しているわけです。

ただ個人的には、これまでのようなYコンビネータースタイルはあくまでも「ウェブサービスを短期間につくり上げる」という前提があっての出資スタイルなわけです。
あくまでも感想ですが、これから本当に大きなネット上での変革が起きづらい(検索→ソーシャル、ときて、その次が何なのかが非常に読めない・・)時代においては、たとえばGoogle Glassのようなハードウェアとインターネットの融合したプロダクトが新しい革命を起こすかもしれません。

そういう意味では、初期の開発費用や資源を考えると、Yコンビネーターのような小粒な投資ではなかなか「世界を変える」様なベンチャーは今後出てきづらいのでは?(事実、Yコンビネーターの卒業生がGoogleやYahoo!、Microsoftなど大手IT企業に買収される事例は少なくありません)と思ってしまいます。

もちろん大手の企業に買収されるだけでもすごいことではあるのですが、今後ウェブサービス「だけ」では次の革命が起きない時代に突入するのだとすれば、Yコンビネーターはどこへ向かうのか?非常に興味は尽きません。










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