2013年12月28日土曜日

2005~2007年くらいに入社した代理店の人達が辞めだしている。


最近総合代理店の友人で転職しました、独立しましたという連絡を受けることが多い。

特に入社後大体5〜7年くらいの、ちょうどこれから中堅で現場をガリガリ仕切っていく立場になった人に多くなっているように思う。

ちょうどこの世代ってリーマンショック前の最後の代理店の春(売上でいうと前年比100%を越えていた。広告宣伝費も6兆円を突破していた時代)を謳歌していた最後の年代で、入社した時には割と景気の良い昔話を上司から聞かされていた世代だと思う。

その後2,3年で「あれあれ?」というほど業績が下降を続け、リーマンショックでトドメを刺された。 

先輩や上司がどんなに夢を語っていても「いやでも現実はさ。」とかなり冷静に状況を見てきた世代だと思う。

入社したばかりの2,3年はとりあえず必死で働いてみるのだが、5,6年も経ってきてだいぶ現実的な状況がわかってくると、

・このままこの会社で頑張る
・ある程度代理店ビジネスに見切りをつけて転職するか独立する

というところでビビッドに判断が分かれている世代なのだろう。

新しい道に進むことは悪く無いと思うし、代理店で培ったマーケティングスキルは前のエントリでも書いた通り、他業界では重宝される部分も多分にあるので(もちろんある程度磨かれている必要があるけれど)、僕は30前後の中堅社員がどんどん他業種に流出していったり、独立するのは良いことと思う。

もともと代理店は非常にスペックも高く発想が豊かなのに、こう言ってはなんだけど、配属された部署で不遇を味わっている優秀な人も多いと思うし。

そんなことを考えていた年末でした。





2013年12月27日金曜日

広告代理店に入社するのですが、インターネット以外の部署でもメリットはありますか?(読者さんからの質問 その3)



皆さん

メリークリスマス! メリクリ!

ということでクリスマスはインドネシアで過ごしたキャシーですが、見事に腹をくだしてしまい、メリークルシミマスでした(こっち見んな)。

久々の更新ですが、今回も非常に興味深い質問をいただきましたので、回答させていただこうと思います。


【質問】

私は来春広告代理店に入社するのですが、インターネット事業部を志望しようと思っています。
インターネット事業部が最適な選択肢だと考えている理由は、新規事業を立ち上げるにしても、小資本で始めるため、広告を打つときは、インターネットがメインになるだろうということで、知識、スキルが活かしやすい。海外に行ってもインターネット広告の知識スキルは汎用性があるのではないかと考えているためです。

そこで、質問なんですが、大きなクライアントを担当し、大きな予算でテレビ広告などを作ることに携わることは、インターネット事業部で身に付く実用的で汎用性のある知識・スキルよりメリットがあるでしょうか?
また、マーケティング事業部が良いなど、私の考えている選択肢以外でより適当な選択肢がいいとお考えになる場合は是非教えてください。




【回答】

非常に鋭い質問をありがとうございます!
早速ですが回答させていただきます。

まず質問者さん自身が「今後どういうキャリアを積んでいきたいか」というところが肝要になるわけですが、新卒の間から自分のキャリアについて明確な答えを持てる人なんていないわけなので、まあ現時点で決めておく必要はありません。 

また日系企業の場合は部署志望を出したとしても人事上の都合で「まったく興味のない部署」に配属されることもあります(でもそこが本人からしたら良い部署になる場合もあるよ)。 なのでまずは「与えられた部署で1番の成績を残しつつ」、「会社や業界の構造がわかってきたら社内で別のプロジェクトにjoinしてみる」という意識を持っておきましょうということが、大前提としてお話しておくべきことと思います。


さて、キャリアについてなのですが、結論から言うと、

大きなクライアントを担当し、大きな予算でテレビ広告などを作ることに携わることは、インターネット事業部で身に付く実用的で汎用性のある知識・スキルと同様にメリットがあります」。

ここでいう「大きな予算でテレビ広告などを作ることに携わること」という範囲では狭い領域になるのですが、より広い視点で、

「大きな予算を使って企業のコミュニケーションを包括的にプランニング・実施した経験があることは後々貴重になる」

ということは言えると思います。

キャシーが総合代理店から外に出てみてわかったことですが、企業コミュニケーションをテレビなどを含めてトータルにプランニングしたことのある人材はマーケットにおいて非常に少ないのが現状です。それもできればクリエイティブやマーケティングといったスペシャリティな部署よりも、「営業」や「クロス・コミュニケーション」といった、メディアや施策全体を俯瞰してハンドリングできるような部署がいいのではと思っています。

ただ、それだけではこれまでの代理店社員と同じなので、是非是非デジタルの知識・スキルも身につけていってください。
マスの広告をやりながら、特に若い人であれば率先して、その包括的な施策の中でデジタルの施策を手を挙げてやらせてもらい、例えば営業やコミュニケーションプランナーとして、代理店が今後取り組んでいかなくてはいけない「新しいデジタルの施策」についてチーム内では誰よりも知っている・経験がある、といった立場になることをオススメします。

先ほど「人材が少ない」と申し上げましたが、そうしたマスの経験も積んで、かつデジタルのことを話せるような人間は、代理店はもちろんですが、「代理店の外でも」非常に貴重な人材になります。

ただ仰るとおり、海外に行けばマス広告の展開などは日本とはまったく環境も事情も違うので、そういう意味ではインターネットの部署で汎用的なスキル・経験を積むことは確かに必要だと思います。要はキャリアの選択次第で志望部署を変えるべきだということですね。

まとめると、

・日本国内でキャリアをまず積んで、マスキャンペーンへの造詣も深くかつデジタル施策についてもわかっていて、国内で次のステップアップを狙うのであればまずは営業やクロス・コミュニケーションなど全体の統括が担える部署に。

・速攻で海外に言って新しいことに取り組んでいきたいのであればインターネットの部署


なのかなぁと思います。ただこれは結論のない議論なのでなかなか難しい問題です。

特に大きな総合代理店であれば海外にいける人間もやはりマス広告経験者が圧倒的に多いのが特徴です(総合代理店におけるデジタル系人材はそもそも日本国内での需要が逼迫しているので、海外に行く人をあまり知りません)。

仮にキャシーが今絶対に広告代理店に入社しなければならないという状況だとすると、まずはマス関連の広告を包括的にプランニング・実施する部署に言って経験を積むかなと思います(そもそもそういう仕事ができるのって総合代理店でしかできない醍醐味だったりするしね)。そういう部署は社内の各部署の仕事内容や機会について俯瞰できたりもするので、そこから自分に合った部署に数年後に異動希望を出すのがいいかなと考えます。


散文的な感じできちんとお答えできていないかもしれませんが、ご参考までに!