2013年10月3日木曜日

広告代理店に入社する人って、どれくらい「広告が好き」なんですか?  (読者さんからの質問その2)

こんにちは、キャシーです。本日も読者さんからの質問にお答えします。




【質問】
はじめまして、現在大学3年生です。ブログ楽しく拝見させて頂いております。

ちょっと前に、カンヌの受賞作を見始めたのですが、
カンヌの受賞作を見て、感動を覚えました。先日とある広告代理店のインターンシップの選考を受けてきたのですが、みんなカンヌを知らなくて少し不安になりました。

実際の話、広告代理店で広告好きってどのくらいいるんでしょうか
(広告好き:世界の広告賞を一通り知っているような層)

それと、日本だと主に電通の受賞が多いような気がしますが、現場の感覚では、カンヌなど広告賞はどのように見られているのでしょうか?

よろしくお願い致します。



【キャシーからの回答】


カンヌの受賞作、いいですよね。
僕もDoveのEvolutionっていうCMを見た時は鳥肌が立ったのを覚えています
(2007年くらいだったかな・・?)

広告代理店の広告好きがどれくらいるのか?という話ですが、
僕の印象だと、「広告賞を取った作品まで結構知っている」という人は
一部の人達、特に「クリエイター」と呼ばれる人達に多かったように思います。
それ以外の人は実はほとんど広告知らなかったりっていう人も新卒ではいたりしますね。いや、おじさんの方がクリエイティブの受賞作とかを知らない人は多いかな・・・・


原因は2つほどあると思うんですが、

1つ目は、
やっぱり未だに広告の仕事って「なんかよくわかんないけど楽しそう」「給料が良さそう」という理由で入ってくる学生も多いのですね。
広告が大好き!ってワケじゃないんだけど、めちゃくちゃ頭良いし、学歴も立派だから、するするっと採用を通っちゃう様な人。
そういう人は基本的に「ビジネス」としての広告業については興味あるけど、あまり広告「クリエイティブ」のカンヌがどうこう、っていう話は全然知らなかったりします。

2つ目は、
広告の仕事って外から見ると非常にクリエイティブな仕事に見えるんですが、
実は「カンヌに出すような広告を作る広告クリエイター」っていうのは会社の中でも非常に僅かな人達なんです。
というのも、広告の仕事って「広告を作る=クリエイター」の仕事以外にも、


営業部→お客さんとの予算管理を調整してチームを動かす人
メディア部→お客さんの広告を載せる媒体を買い付ける人
マーケティング部→お客さんへの提案のロジック・ストーリーを考える人
プロモーション部→イベントなんかを取り仕切る人
デジタル部→インターネットのプロモーションを考える人
クリエイティブ部→実際にお客さんの広告を「作る」人(絵を描いたり、コピー考えたり、撮影したり)

なんていう感じで、大半の人達はクリエイティブ部の仕事じゃない人達なんですね。

カンヌとかって、あくまでも「クリエイティブ」に特化した(まあ最近はそうでもないんですが)賞なので、カンヌの主役は「クリエイター」の人達なんですよ。そうすると他の部署の人達は、まぁ自分が手がけた仕事が賞とったら営業部の人もマーケティングの人も嬉しいですけど、他のカンヌ作品まで全部知っておこう!ってほどモチベーションは高くないですよね。


あとカンヌで賞取ることがどう見られるかっていう部分ですが、
クリエイターにとってはめちゃめちゃ重要です。これで人生の稼ぎ金額が変わるっていうくらい大事なものです。


なんでだと思いますか?


たとえば、質問者さんもよくこういうこと思いませんか?


「テレビでやってるダメダメなCMなんかより、自分の方が面白いCM絶対に作れるはず!」


つまり、それくらいクリエイティブって「スキルや実績が数字や目に見えない」から「曖昧」なところがあるわけです。


じゃあお客さんって、誰に広告クリエイティブを発注するべきなんでしょう?


カンヌで賞取った人と、何も賞がない人。
朝日広告賞取った人と、何も賞がない人。
ヤフークリエイティブアワードで賞とった人と、何もない人。


そりゃ前者のクリエイターにお願いしよう、ってなりますよね。
なので、クリエイターにとって「賞」っていうのは仕事を呼び込むために
めちゃめちゃ重要なのです。

売れないクリエイターは厳しいことを言うと、大手代理店に勤務してるのになかなか仕事の案件がない、みたいになる人もいるわけです。


長々となってしまいましたが、そんな感じですね。

ただ最近はお客さんもシビアになってきていて、
広告を作って感動させるだけでいいのか?ってなってきています。
広告の目的ってあくまでも最後はモノを買ってもらうためにやるわけなので。

そういう意味で、最近はインターネットを使った広告クリエイティブが注目されています。 昔ながらのクリエイターの人達はネットがよくわからないので、ここがわかるっていうだけで結構重宝される時代に入ってくると思いますよ。 


以上、少しでも参考になれば嬉しいです!