2013年5月28日火曜日

広告代理店は"メディア”の代理店です

こんばんはキャシーです。

今日は総合広告代理店の仕事内容について書いてみたいと思うのだけど、キャシーも学生の頃は広告業界に憧れていて、その理由はやはり当時は高給の代名詞みたいな存在だったし、なんとなくアイデアを形にして世の中に大きくどーんと知らしめる、みたいな仕事っていいなぁと思ってたんですね。 

元々音楽や美術、文学にも興味があったのでなんとなくArtisticな分野の仕事に就きたいな、という思いがありました。


そんなキャシーが広告代理店に入ってびっくりしたのが


総合広告代理店ではたらく=クライアントのためにソリューションを提供する


というよりは


総合広告代理店ではたらく=どれだけメディアを売るか。


という仕事に終始することだったんですね。


いや、そんなの電通・博報堂の決算を見たら一目瞭然なのですが(入社前にちゃんと調べとけよって話なのですが)、大体どこの広告代理店も6~7割くらいは

テレビ
新聞
雑誌
ラジオ
インターネット

の「メディアの売上」で稼いでいるわけです。あとはそこに掲載するための広告クリエイティブ制作費。



「広告代理店は、メディアを売ることで食っている。」



まぁさすがに「アイデアを世に問う」だけで仕事しようとしていた自分は子供だったなぁと思うわけですが、基本的には「総合広告代理店=メディアを売る会社」なわけですね。
なので、メディアを売れる人間がやっぱり強いし評価される。


昔は広告効果の測定方法もそこまで充実していなかったし、経済が伸びていたからクライアントとの人間関係で仕事が回っていたわけです。そりゃ広告の効果が明らかに全くない、というのは問題だけれど、そもそも掲載するメディアも少なかったということで、ロジックがうんぬんかんぬん、ではなく「いかにクライアントに気に入ってもらいながらメディアをお買い上げいただくか」であったわけです。


よく広告代理店の真髄は「クライアントのために最善を尽くすこと」と良く言われるわけですが、その”最善”はテレビを買うことであって欲しいんです。だって儲かるから。

テレビ買ってもらわなければ新聞を買って欲しいし、新聞が無理なら雑誌を買って欲しいし、雑誌がダメなら・・・まぁ、ラジオはいいとしてインターネットを買ってほしい。それもできればYahoo!のトップのブランドパネルを買って欲しくて、間違ってもGoogleのAdWordsに出稿したいなんて言って欲しくないわけです。


コミュニケーション・プランニングなんたら・・とか言ったり、ソーシャルメディアうんたら・・・みたいな部署も最近増えてきていますが、なんのことはない、最終的にはおっきなテレビ・新聞とかを買ってもらうための外堀を埋めるための部署だったりするのもある面では事実。 

そもそもの「マーケティング」も「最適なプロモーションを構築するためのマーケティング」ではなく、「いかにテレビを買ってもらうかのマーケティング」だったりするのです。


プレゼンの時でも、前段のマーケティングの説明が非常にロジカルで納得感のある説明だったのに、「それでは、実施するプランをご紹介させていただきます」と言った瞬間に、

「テレビを買いましょう!」
「新聞を買いましょう!」
「雑誌を買いましょう!」

となっていて、「ズコーッ!」とずっこけてしまうことも多いのです。


「代理店」というのは「クライアントの代理」ではなく、あくまでも「メディアの代理店」であって、ソリューションありき、というよりはまずメディアを売ることが前提です。それがあって、ソリューションが成立します。


まぁ、ここでキャシーが書いていることなんてこれまでもたくさんの人が何回も言及してきたことなわけですが、マーケティング課題に対して色々な施策を巡らせていたら、


「そもそもメディア買わないでいいんじゃないの?」


という選択肢も検討されうる考えだし、でもそんなことロジックまとめて提案しようとしたら上司から(しかもあなたがメディア担当部署に配属されているのであれば)

「お前はバカか?」

と言われてしまうのは目に見えているので、なんとかメディアを買わせるような方向にもっていかなければいけない。

というと聞こえが悪いのですが、そもそも広告を売るのがビジネスなのだから、少しでも買ってくれる可能性があるメディアの枠を売るのは当然でもあり・・・難しいですね。



言い過ぎでしょうか?確かに言い過ぎだと思いますが、実際にキャシーがあるメディア部署にいた時に、

「○○さん(先輩の名前)、これってこのメディアじゃなくてこういう施策の方がお客さんとしてはいいと思うんですが、どう思いますか?」 

「は?何いってんの?あんたその案件、他の部署にフラフラ渡したりなんかしたらぶっ飛ばすからね。」

と言われたこともありました。
そりゃその部署はそのメディアを売ることが目的の部署なんだから、まぁ当然ですよね。
ということでキャシーは冴えないやつだったのです。


もちろん、最も良いのはマーケティングロジックやコミュニケーションデザインが秀逸、さらにメディアバイイングと組み合わさって、しかも効果が良い、なんていう魔法のようなキャンペーンなわけですが、なかなか皆が皆激務と提案の締め切りが迫っている中で、そこまで練りに練った提案が出来る人も少ないという事情もあります。



なんか批判的な文章になってしまいましたが、IT企業でも広告に携わっていたキャシーからすると、リスティングのようなコンバージョン地点がはっきりしているウェブ広告よりもロジックがどうしても薄くなりがちなマス広告のところで、ドシッと構えてメディアの枠を切り売りできる総合代理店のパワーというか胆力みたいなのってやはり他の業界とは一線を画していて、そこはウェブ企業がやっぱり太刀打ちできないところってのはあると思うんですね。

なので、個人的にはやっぱりマス広告を経験した人はどんどんウェブ業界に飛び込んで、そこで全方位的に提案・話ができる人になるのが良いのではないかなーと思っています。

















2013年5月26日日曜日

起業しないやつは"ウンコ”である

どうもキャシーです。昨日のエントリは思いがけず様々な方にシェアいただき、たくさんの方に読んでいただいたようです。だけど誰もコメントはしてくれないのね・・・。






さて、こんなtogetterが昨日話題になっておりましたが、キャシー的にも共感するところはいくつかあってですね。



この一言に言いたいことが集約されてたと思うんですよ。要は

「学生の中には起業しさえすればOKとかって考えて、そもそもその起業の内容もセンスないし、起業しただけで大企業とか旧来の働き方をバカにして、しかもずるずると失敗したことを認めないでだらだら続けてんじゃないよ!」

っていうことだと思うんですね。

ここからはキャシー自身の体験になるわけですが、最近のソーシャルメディア上ってfacebook映画が公開され始めた頃からベンチャー界隈の人達の言論が非常に活発で、結構その界隈の人からすると


「起業しないやつは人生無駄にしてる。」


っていうくらいの極端な発言が散見されて、その割には企業勤めの人からすると「本当に結果を出して、実際に彼らが言うように世の中を変革してるのってどれくらいいるんだろうね?」っていうのを微妙に思っていて、キャシー自身も正直、ベンチャー起業した若い人の発言を見てると「いやいや・・大企業だって全然楽しい部分あるし、良いところたくさんあるんだよ・・?」と思うことはあるわけです。 むしろ起業した人は自分が不安だから正当化するようなポジショントークをしたくなっちゃうのかな、とか。。


個人的にはベンチャー、スタートアップ、起業系の話は大好きですし、チャレンジする人は常に応援しているのですが、起業したことがなんでもかんでも最高で一番クールなことだ、とは思う必要がないんじゃないかってことです(でもシリコンバレーの方とかって超クールだよね。やっぱアメリカ人かっけー)


起業したければすればいいし、大企業行きたくなければ行かなければいいし、起業したけど「あ、ダメだ。」と思えばやめて就職したらいいし、大企業行ってたけどやりたいこと出てきたら起業しちゃばいいし。中途半端でうじうじしてる奴はそれはそのままうじうじしてればいいと思うんです。


またベンチャーキャピタルの人達は「起業する人が一人でも増えなければ仕事がなくなる」っていう側面も一部分ではないわけではないので、起業するにあたってネガティブなことなんて言わないですし、そもそもベンチャーはどこが当たるかわからないから「このベンチャー本当にひどいな。。」と思ってても、そんなこと誰も言ってくれません。だってもしかしたらGoogleみたいになっちゃうかもしれないから。基本的にベンチャーキャピタルは「全張り」です。投資はしなくとも関係は良好に保とうとする場合が多いのはビジネスとして当たり前。


「学生は起業せずに就職しろ。」答えはないとは思いますが、某IT企業の方が言うように、日本のような「文系主導のIT業界」はシリコンバレーのようなTech文化とは違って、結構な比率で営業力と人間関係がモノを言う部分があるのは否めないと思うので、そういう意味では一度就職した方が有利な側面が多いのではないかな、という部分も共感できます。

まぁキャシーは「センスの良い」起業をする人は好きです。センスが良いかどうかはキャシーの勝手な好みなんですけどね・・。



















2013年5月25日土曜日

総合代理店の若手は「不幸」である。

総合広告代理店で働いていた時には特に意識しなかったのだが、外に出てみて圧倒的に気づくことがあった。それは、

・大きな代理店で働いていると、仕事が勝手に舞い込んできて、その状態が「異常」だと思わなかった

というものである。

もちろん、扱いを落とせば仕事はなくなるし、そもそものパフォーマンスが良くなければ同じ業務を継続することもなくなるのだが、基本的に「仕事がなくなって困ってる」という状況になることが圧倒的に若手の頃は少ないのだ。


誤解を恐れずに言うと学校に行くようなものだ。


毎日会社に行けば、仕事が待っていてうまくこなせば評価がもらえる。
新規開拓なんて上の部長さんレベルがこなしているので、若手が尻を叩かれることもない。

なにも功績がなくても配属次第で超有名なビッグクライアントを担当させてもらえるし、久しぶりに会った友人はメーカーで地味〜な仕事をしているところに「今○○のCMやってんじゃん?あれうちのチームなんだよね〜」などと自慢することもできる。


でも、そんな状況にずっと浸かっていることで、総合代理店の若手は決定的にビジネス、特に経営や財務関連の知識に疎い人間が多くなっていると思う。

売上を伸ばす前にそもそも与えられた予算内で仕事をしていると、「そういうもんなんだ。予算をくれるんだ。ふーん。よしがんばろう!」で終わり一件落着。

そもそもなぜこの予算が出てきたのか?クライアントの経営状況は?なにか市場にビハインドな部分があって修正すべきマーケティング課題があるのでは?

考えないことはないけれど、そんなことを口にした瞬間にボスから言われるセリフはこうだ。

「そんなこと考える前にコピーを早くとれるようにしろ。」


これで若手の思考回路はジ・エンド。 

気づけば与えられた予算で割り振られた仕事の中で仕事をしているために、決定的なビジネスセンスが欠落していく。
ビジネスセンスとは数字を読む力であり、経営という全体設計の中で相談された仕事内容がどこを占めているのかを俯瞰して吟味できる能力であると思うが、その能力がまったく身につかないまま年齢だけを重ねてしまう。


気づけば業界の商慣習や根性論や「なんだかんだで人。」「俺がお前くらいの頃は。」といった正直あまり中身のない話ばかりをする中年男性の出来上がりである。
本屋に行ってもそんな本が溢れかえっているのを皆さんは見ていると思います。

ちょうどキャシーくらいの油ののった30代の広告代理店に勤める友人から転職相談を受けることが多いのだが、異常なほどネガティブなのだ。


「俺、転職しようとしてみて初めて思ったんだけど、俺の取り柄ってなんなんだろうな・・。派手な仕事は確かにしてきたけど、結局連絡とか情報をまとめてるだけだったし、正直スキルみたいなことは何ひとつ言えないし。。扱いが30億のお客さんを持ってたとか言っても、別にそれって俺の力で取ってきてたわけじゃないしさ・・・」


もちろんそんな人ばかりではないし、物凄い頭が良くてクライアントから信頼されている人や転職する人なんてゴロゴロいる例はあるのだが、少なくともそういう人は「若い頃」に問題意識を持って勉強してきている。間違いなく。

忙しくて仕事に追われているのはわかっているけれど、総合代理店の若手は、キャリアを拡大させたいなら、絶対に仕事以外の時間を飲み会だけではなく、ある程度「勉強」に使うべきです。マジで他の業界の同世代に置いてかれます。

それコピーライターの名言集とかキャンペーン成功事例集、みたいな本読むんじゃなくて、「金融」や「財務」「経営」、あとはもちろん「英語」を学んでいた方が良いと思うのです。そんなことを勉強してこなかったおじさん部長からは疎まれるかもしれないけれど、それはキャシーが自信を持って言える言葉です。








2013年5月22日水曜日

統計学が最強って言ってもそれは「学問」の世界での話だからね。

どうもキャシーです。いよいよ最近、「夏になりまっせ!」と太陽から呼びかけられているような気がするくらい気温が上がって来ましたね。脇汗でシャツを湿らしているおじさん達もちらほら。

さて、今日私が書きたいのは「マーケティングがプロダクトより”前”にきてはいけない」っていうことです。

どういうことかというと、自社が作ってるサービスの

 ・面白さ
 ・そもそもの中身
 ・作ってる人達自身が良いと思っているか

を突き詰める前から、

 ・世に出たらどうやって売ろうか
 ・どこが儲かるポイントか
 ・前回ローンチしたやつはこうだったから今回はこうなるんじゃないか

というのを前提に話を始めてしまってはイカンのではないかということです。


「いや、そもそもマーケティングできるのはプロダクトがあるからなのであって、マーケティングが前に来るっておかしくないか?」


というのは至極当然な疑問なのですが、何故私がこのことを今書いているかというと、

「売上・営業利益は○半期連続で下降を続けながら、なぜか広告宣伝費に関しては横ばいか微増」

という企業が意外なほど多く、その企業の多くが好調子だった時代のマーケティング手法を脱却出来ずに、マーケティングではないそもそものプロダクトに問題が出始めていることに気づいていないのでは?という例が多いのです。


さて、ここでアメリカの実業家ジョン・ワナメーカーの言った

「広告費の半分は無駄ということはわかっている。問題は、どっちの半分が無駄なのかがわからないことだ。」

という言葉が思い出されるわけですが、特にマス広告の役割については

・ニーズが生まれているところにさらに燃料を投下してその勢いを加速させる


場合と、

・ニーズがないもしくは減少しているところに燃料投下をして、認知を拡大して需要を計る


という2つのパターンが大きく有ると思うのですが、前者は大体好業績に任せてどんどん広告費も上がっていくものなのですが、問題は後者の時。

前者のパターンで勝ち続けている企業が急に後者のフェーズに入ると、当の本人たちは

「あれ?おかしいぞ?これだけ広告費投下してるのに前ほど売上あがらないぞ?」

というところから始まり、

「競合が出してるからかな?競合を調べてみよう!うん、やっぱり競合も結構出しているな。負けないようにもっと広告費投下しよう!」

とどんどん売上が下がっているのに広告費だけが増加していき、利益も圧迫してくる。


新陳代謝の激しい業界ほどこういう減少は起こりやすいのですが、原因はもっと違うところにあったりするのが世の常で、その原因とは


”ユーザーが、そのサービス・商品をもう求めなくなっている”


というところにあったりするのですね。


成功していた企業は

「そんなはずはない、何か間違っているだけで、ちょっとまた似たようなサービス・商品を開発すればユーザーは前と同じように戻ってくるはずだ!もっと広告をしろ!ユーザー分析をしろ!競合との違いを洗い出せ!!」

と必死に外に原因を求めだすわけですが、なんのことはない、売上低迷の本当の原因は実は「内部」にあるということは往々にしてあるわけです。

この「内部」は必ずしも組織が怠惰になった、社員のモチベーションが低下している、といったことではなく、むしろ社員は血気盛んで情熱に燃えて良いものを作ろう!としている時に結果が伴わなくなってくることがあるわけです。 純粋な「市場の変化」が起きている、ということです。

その変化にうまく対応できる会社は、プロダクト自体を徹底的に見直します。


ユーザーが「今」求めているものはどんなサービスなのか?

もしかしたら自社のサービス・商品は時代遅れでダサいひどいものなんじゃないのか?

自分がフラットな目線でサービス・商品を利用してみた時に昔ほど良い!と思えるのか?


そんなことをいちから考えなくてはいけません。



かなり長くなりましたが、マーケティングがプロダクトより”前”にきてはいけない、という題名に戻りますと、マーケティングがその時点で強くなりすぎていると、原因をすべて「定量的なもの」に求めがちです。


「統計学が最強の学問である」という本が売れていますが、最強なのはあくまでも「学問の世界」の出来事であって、ビジネスの世界では統計学は最強でもなんでもありません。


あまりにマーケティング的な定量的分析に陥ると、

「定量的な分析とは全然関係ないところでの、”そもそもユーザーが面白く無いと思っている””イメージがダサい”と思っているから離れている」

といった超シンプルで、でも超強力で、「どう逆立ちしても定量化できない問題点」がボヤかされたりしてしまうわけです。


ここで変われない企業のことを経営学ではよく「イノベーションのジレンマ」などと言うわけです、このイノベーションのジレンマが本当に怖いのは「当の本人が過去の成功体験に縛られすぎていて、ジレンマに陥っていることに気づいていない」というところにあると思います。


まぁ私は、これは企業だけではなく個人でも当てはまると思いますが、
長くなってきたので今日はこのへんで・・・。













2013年5月21日火曜日

チームを良くする超簡単な方法

さて、新入社員もそろそろ新しい部署に配属されて1ヶ月が経とうとしている時期。
キャシーの働いていた会社でも「チームをどうmotivateするか?」というのは非常に重要な課題でした。

・会議中に積極的に発言しない
・何かアイデアを出しても「ふーん・・」という感じの空気になる
・そもそもいつも同じ人ばかりが目立ってしまっている
・なんとなくチームの雰囲気が重い・・
・皆黙々と仕事していて、隣同士で何やっているかわからない・・

地味な悩みかもしれませんが、どこの組織も同じような悩みを抱えていると思います。

私がいた外資系の会社なんかでは個人主義が浸透しているので、そんなことイチイチ気にしない組織もあります。 全員がお互いをプロフェッショナルだと思って仕事をしているので、さくさく自分の仕事が終わったら「じゃ!」と言って颯爽と帰宅するのが日常茶飯事。

それはそれで全く問題ないですし、どちらかというとキャシー自体はそういうお互いが高いレベルで仕事をしている環境は好きです。 ただ、皆が皆そういうわけではない。特に日本企業であれば、「隣の人が何をやっているか知らないよりは、知っていたほうがいい。」と考える人が多いと思うんですよね。

私はその考え自体はすごい良いと思っていて、そんなに他の人を思いやって仕事が出来るのはやっぱり日本人の美徳であり誇るべきものであると思うわけです。

さて、そこでチーム内の雰囲気を活性化させて、あるべき方向にどうやって導いていくかという問題なのですが・・・

基本的にはチームビルディングや旗振りを行うのはマネージャーの仕事だと言われています。何かチーム内で方向が定まらない時や、答えのない問題に対して議論をしたあとに最終的な決断を下すのがマネージャーの役割であり、責務であると。

ただ私が思うのは、マネージャーだけにすべてを任せていては組織の底力が全く育たないですし、やはり現場のメンバーがどれだけ「自分のこと」としてチームに貢献しようとするかどうかだと思うんですよね。

チームに貢献する方法はとてもシンプルでいいと思っています。

・朝会社に来たら気持ちよく挨拶する
・誰かのメールにすぐに返信する
・会議中に必ず質問する、発言する
・何か変化を感じたらすぐにそれを言葉にして伝える(「最近あの案件どうですか?」)
・メンバーに興味を持つ(「こないだ話していた事例、教えてくれませんか?」)
・会社の外で起こっていることはメンバーに共有する
・クライアントが言った印象的な言葉を共有する
・会議が終わった後、家に帰ってふと思いついたことがあったらすぐにメンバー内に連絡する
・自分が作った成果物をすぐにメンバーに見せて、フラットに感想を求める


そんな簡単なことを各メンバーが意識するだけで、組織は見違えるほど変わるものです。
もちろん営業組織であれば、数字を達成するのが第一といった目標がありますが、仮に数字が達成できても、できなくても、上に挙げたようなことをメンバー全員が継続している時には、必ず時間がかかっても結果が出ると感じています。


なんかすげー根性系のエントリになってしまって自分でも「うげー」とかなっちゃってるんですが、でも大事なことと思います。

特に会社に1年、2年と在籍するにつれて、環境が変わらないと人って慣れてきちゃうんですよね。で、慣れると心地良くなるもので、環境を改善しようとか、「もしかしたら今の状態ってもっとよくできるんじゃないか?」とか思わなくなっちゃうものなんですよ。どんな優秀な人であっても。

そういう時に、細かい行動のところから常に全員が動いていると、チームはどんどん良くなるし、新しく入ってきた人達も居心地が良くて自由に発言したり、実力以上のパフォーマンスを発揮することができる。

で、じゃあ誰がこれをやるの? という部分なんですが、これをやるのは「あなた」です。今この文章を読んでいる「あなた」が、明日会社に行ってこれを意識してやるだけで皆がポジティブになって、「あなた」が中心になって、組織・チームが変わるんです。それってすごく面白くないですか? 面倒くさい上司がいるかもしれません。人がポジティブにやろうとしてるのに茶々をいれてくる嫌な野郎がいるかもしれません。でも「あなた」がやるしかないんです。なので、がんばってください。 




5月も終わりに近づいて来ましたが、基本的ながら大切だと思ったので書き記しました。
それではそれでは。

2013年5月19日日曜日

ベンチャーでできること、大企業でできること1

こんばんは皆さんキャシーです。
明日からまた月曜日ですね。カーペンターズは「雨と日の月曜日は憂鬱」という歌をうたいましたが、まぁとりあえず雨が降らなそうなだけヨシとしておきましょう。

 さて、先日友人と話していて盛り上がった話題があったのですが、「若いうちからベンチャーで働いたほうが良いのか?はたまた大企業に就職したほうが良いのか?」というよくある議論です。
 
 キャシー自身も学生から相談を受けた時に「ベンチャーと大企業、どっちがいいですか?」とかって聞かれて、真っ当な人間なら迷わず「いや、ベンチャーも大企業も、行きたい方に行けば?人に聞くなよーってば。」とか言えばいいんですが、一応相談されている身としては(特にその相談相手があくまでも従業員としての目線から考えていて、起業家になるほどの才覚がなさそうな人間の場合は)親身に答えてあげなければと思ってしまうんですね。

 ということで、ここでは敢えて「起業したほうがよいのか?」という言い方はしません。どんな規模の企業であれ、従業員であることの延長線上に経営者という「職種」はないという私の持論からです。
 
 会社を経営していくために(しかもそれが成功していると思われるような会社)必要な知識と、経験と、度量は従業員のそれとは一線を画すという考えから、ここではベンチャーに「就職」することと大企業に「就職」することについて書きたいと思います。
 起業したいという方はおおいにされるとよろしいと思います。本当は全ての答えはそこにあるような気もするのですが・・。

 
 さて、脇道にそれましたが、「若いうちからベンチャーで働いた方がよいのか?」「大企業で働いたほうがいいのか?」についてですが、ネット上ではあまりにそれぞれのポジショントーク、特にベンチャー界隈の方々からの声が大きいので、個人的には中立的な立場だと思っている私がその辺整理してみたいと思います。
 ちなみに、職種はすべて営業や企画などの部門がキモになる企業に入った際に限った話だと思ってください。テクノロジーにめちゃくちゃエッジが利いている、イーロン・マスクのテスラだったり未来の食糧危機を救うユーグレナみたいなvisionaryなベンチャーに入った人間はそのまま突っ走ってください。 

 Googleのエリック・シュミットも言っています、「宇宙船が目の前に現れたら、乗ろうかどうしようかなどと考えてはいけない。まずは乗ってみる事だ。」


 さてさて、脇道にそれてばっかりですが、あなたがいわゆる日本の「ベンチャー企業」もしくは「大企業」と言われる会社に入って、営業・企画系の職種に配属になった際に双方に言われることを並べてみました。



〜ベンチャーで働いたほうが良い理由よくあるTOP5〜 

①若いうちから責任ある仕事を任せてもらえる
②会社の成長を肌を持って感じられる
③ストック・オプションを与えられることで、もし会社が成功した場合は経済的な見返りが見込める
④大企業と違ってくだらないしがらみや日本的な悪しき商慣習に惑わされることがない
⑤夢や目標に向かってひた走ることができる


よく上に書いたようなことが言われると思うんですよね。で、ひとつひとつ見ていきたいんですけど、


①若いうちから責任ある仕事を任せてもらえる

 これに関してはその通りだと思いますね。ただベンチャー企業で「責任ある仕事」って、あくまでも「ベンチャー企業の規模の中での責任ある仕事」であって、世間に与えるインパクトはなかなかどうして小さかったりする。 責任があるということは少人数でやっている仕事ということであって、必ずしも「大きな仕事」ではない場合があるのですね。それでも「責任」という2文字を享受できる分、成長は早いのかもしれません。もちろんここで言うのは一般論であって、例外は腐るほどあります。腐るほどあっちゃダメじゃん。


②会社の成長を肌を持って感じられる

 これも個人の人格形成に大きな影響を与えると思うのですが、例えば前に書いた広告代理店なんて、これまではほとんどが「前年比90%」「前年比87%」みたいな世界なわけですよ。それは家電業界も同じだと思うんですけど。でもお給料はもらえてしまうわけなんですね、大企業って。若い時期から「負けグセ」がつくのは私は個人的には非常によくないと思っている。負けグセがつくと「まぁ、こんなもんだよね。」とか「やってもしょうがない。」っていう感覚が本人の意識しないところで根付いてしまうものだと思うので。そのネガティブインパクトはその後のキャリア形成にあたって大きな影響になると思っている。なので、ベンチャーで売上がどんどん上がっている間は「勝ちパターン」を体感できる、かつ、自分が果たした役割が大きいということで、順調なうちはベンチャーの方が確かに良いと思いますね。


③ストック・オプションを与えられることで、もし会社が成功した場合は経済的な見返りが見込める

 良心的な会社であれば、ベンチャー初期で給料を上げるのが難しいうちはストック・オプションという形で従業員を労ってくれるはず。ちなみにストック・オプションとは「新株予約権」と言いまして、未来の株を現在の値段で買える権利のことです。 めっちゃシンプルに言うと、「2年後に1億円になったモノがあったとして、あなただけ1万円で買っていいですよ」っていう権利ですね。すごいですね。買ってからすぐ売っちゃえば9999万円の儲けになるってことです。うわすげーシンプル適当すぎる説明。
 まぁ、億万長者を狙うのであれば、ガンガンベンチャーで働くってのはアリかなと。大企業の定義を上場企業とするならば、コレはベンチャーならではのメリット(というかリスクを持って働いたことに対するプレミアム)です。 
 ちなみに私の知り合いの某ソーシャルゲーム企業に長年勤務している方は、ストック・オプションを付与されたお陰で28歳で都内に新築のマンションを購入しております。やれやれ。



④大企業と違ってくだらないしがらみや日本的な悪しき商慣習に惑わされることがない

 ここはノマド系ブロガーやたまに勘違いしている大学生などでも散見されるのですが、素晴らしいベンチャーほど大企業とのやり取りも非常に巧みです。悪しき商慣習は確かにあれど、その清濁を合わせ呑んで価値観の違いも受け入れていく会社が「日本では」生き残っていくようなイメージがありますね。 もちろんテクノロジー系ゴリゴリのあなたは商慣習なんて気にせず突き進んでください。
 まぁベンチャーは基本的に若い会社なので、私個人としては日本的な”商い”を上手に持ち込んでくれて、かつベンチャー企業の開拓者精神が備わっている人、そんな人がjoinしてくれるのが理想的だと思いますね(営業・企画職の話だからね)。
 


⑤夢や目標に向かって純粋にひた走ることができる

 ここもよく大企業が誤解されがちなところだったりするんですが、ベンチャー企業がその会社の「創設」と時を同じくして「○○を○○に変える」といったフィロソフィーを立ち上げてそれに対して邁進していくわけですが、大企業は大企業でやっぱり世の中を良くしようとしている人がたくさんいます。エッジの利いた人も本当にたくさんいます。それは私が今までお付き合いしてきた色々な会社さんを見ているとそうなんですね。
 一途にプロダクトを良くしようとしている人もいれば、全く新しいチャレンジを企業の中でやろうとしている人達がいる。そういう意味で、あまりベンチャーには夢があって大企業にはないような風潮はどうかと思いますが、確かにそこに対する意思決定の迅速さだったり、有機的でスピード感あるチームプレイなんかはベンチャーに軍配が上がるのでしょうね。
 
 ただひとつ、上述の①にも絡んでくるのですが、大企業の仕事は「大きな仕事」が多いです。大きな仕事というのは「関わる人も、お金も大きい」です。関わる人も、お金も大きいと「決めるのにどうしても時間をかける部分が出てき」ます。 

 これをもって一概に「大企業は鈍重」「大企業は緊迫感がない」とぶった切ってしまうのは少しもったいない気がしていて、本当に浮沈の底にあるような改革が必要なタイミングでずぶずぶ意思決定を遅くして足の引っ張り合いを内部でしているとかは最悪ですが、お金と人を投資して本当にどデカい何かを数十人、数百人の関係者が絡む中で実現しようと悪戦苦闘することは、実は大企業でしか体験できないことだったりもします。

ちなみにエンジニアじゃない人が読むべき起業の本と言えばオススメなのはこちらなんですが、




まぁ、これ読むとやっぱりベンチャー起業というのはセクシーなイベントだなぁと思いますよね。「そこに一緒にいれるだけでも価値のあること」というのはやはり存在するのでしょう。

 
そんなこんなで、書いていてなかなか今まで流行したこのテのコラムとなんら変わりないなと反省しているわけなんですが、次回は大企業側の視点で書いていきたいと思います。

皆さんお楽しみに。

ミクシィの無料通話アプリが普及するのは難しい。

ミクシィ、無料通話アプリ参入へ SNS以外の事業拡大


 社長交代したミクシィが無料通話アプリをリリースするようです。
ミクシィといえば30代の私にとっては完全に大学時代の思い出の一つになってしまっているわけですが、 社長交代したことで色々と新しい取り組みを始めるようですね。

メッセンジャーアプリに関しては既に様々な企業がリリースをしており、ニュース報道も過熱しているのでここで敢えて色々とは書きませんが、今のタイミングでのメッセンジャーアプリは相当戦略を考えないと市場の一位をとることは難しいでしょうね。

DeNAのcommなどは昨年末に大規模なキャンペーンを実施しましたが、日本国内での普及具合は頭打ち感が出ていますし、やはり国内はLINEのパワーが圧倒的です。

GREEは実は国内ではなくまずは海外向けに「Tellit」というサービスをリリースしていて、アジアとヨーロッパの一部では人気が出てきているようですね。

元々こうしたメッセンジャーアプリはLINE以前にも、位置情報共有も目的としたカヤックの「ナカマップ」があったり、サイバーエージェントから「ally」がリリースされていますが、LINEの大逆転劇を経て今ではほとんど目立たないサービスとなってしまいました。

無料メッセンジャーアプリは確かに実際の友人を結びつけるサービスとしては強力ですが、そもそものサービスが知られるためのマーケティング費用もバカにならないですし、今からLINEと対等に戦うのは非常に厳しいと思います。

 元々LINEは2011年の夏くらいに5~60万人程度の会員数で推移していたところに、ベッキーのテレビCM効果で一気に1000万人クラスまで持っていった実績がありますが、一定の会員数が集まらないと収益性も高くないメッセンジャーアプリでテレビCMを打つという決断をしたのは当時の経営層のまさに英断だったわけですね。

 また彼らの強みは「徹底的にガラケーユーザーを意識した」というLINEの森川社長の言葉にもあるように、まさにミクシィが得意としていたガラケーユーザーを如何に取り込むかで大きくなったサービスなので、ここを引き剥がすのは容易なことではないでしょう。

 個人的にはそこに開発リソースを割くよりは、ネイティブアプリのゲーム開発等、コンテンツプロバイダーとしての方向に舵を切るほうが得策なのではと感じてしまうのですが。

ただ、僕には信じられませんが未だにミクシィのアクティブユーザーは1000万人を超えているらしく、地方にいくとヤンキーのお姉ちゃんなんかは皆ミクシィを使っているとも聞きます。 メッセンジャーアプリを普及させるためには、なにかこうしたコアなユーザー達に響くような機能があればニッチなサービスとして存在感を出すことができるかもしれませんね。











起業の学校 "Yコンビネーター" を読み終えて

"Yコンビネーター"を知っていますか?

聞きなれない方のためにご説明すると、「Yコンビネーター」とはアメリカのシリコンバレーを拠点にしているベンチャーキャピタルの名前です。

この時点でカタカナだらけで意味がわからないよキャシーさん、という人もいるかと思いますが、要はこういうことです。

「いいアイデアを思いついたぞ!僕はパソコンでプログラムも書けるし、これは良いビジネスになるはずだ!でも・・・会社を作るにはお金もかかるし、人を雇ったりオフィスを借りたりするのにもお金がかかるな・・今の僕の状態じゃとてもそんなお金払えない・・」

「ハイ!そんな時こそYコンビネーター!私たちは、あなたのように夢と野望を持っていてウェブサービスを作れる人に対して、必要なお金を投資するよ。もちろん、銀行と違って融資ではなく投資なので、失敗しないでも返さないでいいよ」

「え!そんな天使のような人がいるのか!じゃあ1億円ください」

「あのね、ただ簡単にお金ください、じゃダメなの。あなたが何を考えて、どうビジネスを伸ばしていこうと考えていて、誰とそれをやるのか、とか。きちんとビジネスプランを見せてくれなきゃダメよ」

「分かりました!今すぐ事業計画書を作ります!!」


相当色々な部分を端折って書いていますが、要はこういうことです。
Googleもfacebookも、今では世界中で知らない人がいないくらい大きな組織になりましたが、元々立ち上げの時には同じような問題に直面して、ベンチャーキャピタルからの支援を仰いでいました。



さて、そこでYコンビネーターですが、どういうところが特徴的なのか?というと、

・投資としては極めて少額の融資(300~1000万円ほど)を
・20代前半の若い起業家たち中心に投資を行なって
・3ヶ月間のあいだ、開発のフィードバックを週に1度行い、
・時にはビジネスモデルの転換やアドバイスも綿密に行い、
・3ヶ月後の「デモ・デイ」と言われる試作品発表会を開いてくれる

というベンチャーキャピタルなのです。

ここまである意味「学校」のようにシステマチックになったベンチャーキャピタルはこのYコンビネーターが先駆けで、日本ではサムライ・インキュベートなどが同じように若い起業家たちに少額融資をするので有名です。

3ヶ月間の開発の苦節を乗り越えて、若者たちは「デモ・デイ」に参加するのですが、そこにはYコンビネーターのつながりであのGoogleやfacebookに投資をした有名な投資家たちが一同に集まります。

・お金も何もないけれど夢だけはある若手起業家が
・Yコンビネーターから小額の融資を受けて3ヶ月間必死にサービスを作り
・そして「デモ・デイ」では更に有名なベンチャーキャピタルから数億円〜数十億円の出資を受けて
・あれよという間に世界中で誰もが使うようなサービスに!

というのがYコンビネーターを通じた「シリコンバレー・ドリーム」となっているわけです。

日本でも多くの人が使っている「Dropbox」というオンラインストレージサービスや、「Air BnB」という、自宅を留守中に他の人に宿泊施設として貸し出してしまおう!といった世界で爆発的に成長している(日本はまだまだだけどね)サービスも、元々はYコンビネーターの卒業生なのです。

シリコンバレーには、こうして起業家と投資家が次のGoogle,facebookを生み出す独特のエコサイクルが発達しているわけです。

ただ個人的には、これまでのようなYコンビネータースタイルはあくまでも「ウェブサービスを短期間につくり上げる」という前提があっての出資スタイルなわけです。
あくまでも感想ですが、これから本当に大きなネット上での変革が起きづらい(検索→ソーシャル、ときて、その次が何なのかが非常に読めない・・)時代においては、たとえばGoogle Glassのようなハードウェアとインターネットの融合したプロダクトが新しい革命を起こすかもしれません。

そういう意味では、初期の開発費用や資源を考えると、Yコンビネーターのような小粒な投資ではなかなか「世界を変える」様なベンチャーは今後出てきづらいのでは?(事実、Yコンビネーターの卒業生がGoogleやYahoo!、Microsoftなど大手IT企業に買収される事例は少なくありません)と思ってしまいます。

もちろん大手の企業に買収されるだけでもすごいことではあるのですが、今後ウェブサービス「だけ」では次の革命が起きない時代に突入するのだとすれば、Yコンビネーターはどこへ向かうのか?非常に興味は尽きません。










2013年5月18日土曜日

大手広告代理店のお給料事情

世の中では電博を中心に「広告業界は高給取り」のイメージが強いですね。
ところが最近ではその事情もだいぶ変わってきたようです。

バブル時代を謳歌して、2000年代の初頭までは確かに給料が高かった広告代理店。

よく「電通は30歳で1000万円」「博報堂は30歳で800万円」などと言われていたものですが、最近では広告業界の市場低迷によって、電通でも30歳で800万円台。博報堂でも6,700万円台というのが現実らしいです。

電通に勤める20代の私の知り合いも最近「給料が高いって言われてたのは今40歳以上の人達までで、俺達の年代は業務量が大変な割にほんとにこのまま伸びるのかなって思うよ・・。同じくらいもらっていて、帰りが早い会社とかは他にいくらでもあるんだよな・・」とボヤいていました。


理由はいくつかあると思いますが、


1.クライアントの予算配分が利益率の低いネット広告や、自社メディア開発などに割り振られるようになり、代理店の利益率が低下している。

2.国内の消費市場の飽和によって、クライアントが海外進出に資金を割いている(ただし広告は現地代理店に任せるために、日本の代理店には仕事がこない)。


1に関して、まさに最近では、インターネット広告が2012年には電通調べで8680億円、新聞広告の6242億円をとうにリードしてしまいました。大体、広告代理店がクライアントから徴収する手数料は新聞で20%、インターネット広告で15%と言われていますが、

例えば100万円の出稿をクライアントからうけた場合、単純に新聞であれば20万円儲かっていたところが、インターネット広告では15万円しか儲からなくなる。

しかも新聞広告の場合は原稿を一度新聞社に送ってしまえば掲載で終わり、だったところが、インターネット広告の場合はバナーを作って入稿してからもチューニングを続けたり、その後のレポートを出したりと、利益率が低い割に、作業量が非常に多くなるんですね。これによって利益率が低下してしまうわけです。


2の理由については、特に電通、博報堂が得意とする「有名クリエイターを起用した大型のマス広告キャンペーン」というのは、「日本」という地理に根ざした文化を知っているからこそ、優位性を発揮できる仕事でした。

日本人が面白い、と思うツボ。 日本人がこのCM素敵だね、と思うツボ。

日本人から共感を得るための広告を「日本人が作る」ことで強みを発揮してきたのがこれまででしたが、例えばある自動車会社がインドで低価格の車を新発売した時、やっぱり彼らに響く面白くて心に通るような広告を作れるのは同じインドの人だったりする(もちろん、グローバルで活躍するクリエイターはたくさんいます)のが現実なのですね。

なので、クライアントの企業規模自体が大きくなっても、なかなか電通・博報堂には仕事がこないような構造。加えて日本のマーケットは縮小したり停滞している業界もあるので、益々売上・利益が低くなってしまうのです。

電通・博報堂が高給と言われてきて、なかなか厳しい時代を迎えていることがおわかりいただけますでしょうか。

もちろん、他の上場企業に比べれば彼らがまだまだ高給取りなのは事実ですが、ここ数年の上げ下げの幅をみてみると、楽天やサイバーエージェントといった会社が確実に平均年収を伸ばしているのに対して、電通・博報堂は下がり続ける一方・・・。

今後はインターネット企業が電通・博報堂に取ってかわる高給企業となる時代がくるのかもしれませんね。