2013年5月25日土曜日

総合代理店の若手は「不幸」である。

総合広告代理店で働いていた時には特に意識しなかったのだが、外に出てみて圧倒的に気づくことがあった。それは、

・大きな代理店で働いていると、仕事が勝手に舞い込んできて、その状態が「異常」だと思わなかった

というものである。

もちろん、扱いを落とせば仕事はなくなるし、そもそものパフォーマンスが良くなければ同じ業務を継続することもなくなるのだが、基本的に「仕事がなくなって困ってる」という状況になることが圧倒的に若手の頃は少ないのだ。


誤解を恐れずに言うと学校に行くようなものだ。


毎日会社に行けば、仕事が待っていてうまくこなせば評価がもらえる。
新規開拓なんて上の部長さんレベルがこなしているので、若手が尻を叩かれることもない。

なにも功績がなくても配属次第で超有名なビッグクライアントを担当させてもらえるし、久しぶりに会った友人はメーカーで地味〜な仕事をしているところに「今○○のCMやってんじゃん?あれうちのチームなんだよね〜」などと自慢することもできる。


でも、そんな状況にずっと浸かっていることで、総合代理店の若手は決定的にビジネス、特に経営や財務関連の知識に疎い人間が多くなっていると思う。

売上を伸ばす前にそもそも与えられた予算内で仕事をしていると、「そういうもんなんだ。予算をくれるんだ。ふーん。よしがんばろう!」で終わり一件落着。

そもそもなぜこの予算が出てきたのか?クライアントの経営状況は?なにか市場にビハインドな部分があって修正すべきマーケティング課題があるのでは?

考えないことはないけれど、そんなことを口にした瞬間にボスから言われるセリフはこうだ。

「そんなこと考える前にコピーを早くとれるようにしろ。」


これで若手の思考回路はジ・エンド。 

気づけば与えられた予算で割り振られた仕事の中で仕事をしているために、決定的なビジネスセンスが欠落していく。
ビジネスセンスとは数字を読む力であり、経営という全体設計の中で相談された仕事内容がどこを占めているのかを俯瞰して吟味できる能力であると思うが、その能力がまったく身につかないまま年齢だけを重ねてしまう。


気づけば業界の商慣習や根性論や「なんだかんだで人。」「俺がお前くらいの頃は。」といった正直あまり中身のない話ばかりをする中年男性の出来上がりである。
本屋に行ってもそんな本が溢れかえっているのを皆さんは見ていると思います。

ちょうどキャシーくらいの油ののった30代の広告代理店に勤める友人から転職相談を受けることが多いのだが、異常なほどネガティブなのだ。


「俺、転職しようとしてみて初めて思ったんだけど、俺の取り柄ってなんなんだろうな・・。派手な仕事は確かにしてきたけど、結局連絡とか情報をまとめてるだけだったし、正直スキルみたいなことは何ひとつ言えないし。。扱いが30億のお客さんを持ってたとか言っても、別にそれって俺の力で取ってきてたわけじゃないしさ・・・」


もちろんそんな人ばかりではないし、物凄い頭が良くてクライアントから信頼されている人や転職する人なんてゴロゴロいる例はあるのだが、少なくともそういう人は「若い頃」に問題意識を持って勉強してきている。間違いなく。

忙しくて仕事に追われているのはわかっているけれど、総合代理店の若手は、キャリアを拡大させたいなら、絶対に仕事以外の時間を飲み会だけではなく、ある程度「勉強」に使うべきです。マジで他の業界の同世代に置いてかれます。

それコピーライターの名言集とかキャンペーン成功事例集、みたいな本読むんじゃなくて、「金融」や「財務」「経営」、あとはもちろん「英語」を学んでいた方が良いと思うのです。そんなことを勉強してこなかったおじさん部長からは疎まれるかもしれないけれど、それはキャシーが自信を持って言える言葉です。








2 件のコメント:

  1. こんにちわ!素敵なブログですね^^
    こうゆうお話好きですので応援します!

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    1. ありがとうございます。今後も応援してやっていただけると嬉しいです・・。代理店ご出身の方でしょうか?

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