2014年10月31日金曜日

代理店は「保健室の先生」みたいなものである。

どうもこんにちは、キャシーです。毎日忙しい日々を送っております。
昨日こんな記事がfacebook内を駆け巡っておりました。


もう代理店事業はキツイんでないか



内容はというと、マージン競争のコンペで疲弊したネット代理店は作業は増えれども実入りが増えず、新規事業と称して様々なメディア運営などに手を出すものの結実することなく結局は厳しい事業環境を抜けだせないでいる的な話でした。

「ネット」代理店としては確かにその通り(そもそもSEMや媒体買い付けだけでは組織や人としての付加価値が出しにくい)なのですが、こと「総合」代理店に関してはちょっと違うんでねーのという視点で今回は書いてみます。


90年代の「商社不要論」に続いて00年代には「代理店不要論」が声高に叫ばれていたわけですが、当の日本における広告の巨人・電通に関しては特に売上が落ち込むことなく、安定的な売上維持(少なくとも大幅な低下はないまま)をしながら事業継続しています。

※電通の月次売上の直近4年間の推移(電通IR資料より)



まぁ確かに2位・3位以下の代理店に関しては売上不振な企業もありますし、電通がイージスグループ買収やDMP周りまでサポートするネクステッジ電通の立ち上げ、電通デジタルホールディングスによるアドテク企業への出資参画などアグレッシブに「次の広告」を見据えて積極的に取り組んでいるところに強さの一因があると思いますが、本当の強さはやはり売上のほとんどを占める「既存クライアントからの広告出稿」をガシっと握っていることによるものです。


冒頭のエントリでは「代理店事業はキツイんではないか」という提起がありましたが、キャシー的には「今後益々電通を始めとする”総合”代理店のニーズはナショナルクライアントを中心に増していく」という感じがしております。



何故か?それは電通などの総合代理店は単なる外部パートナーとしてではなく、クライアントの「保健室の先生」的な役割も占めているからです。


ベンチャー企業の人からしたら「だから大企業はダメなんだ」と思われるかもしれませんが、大企業では日系・外資を問わず日々の「社内での足の引っ張り合い」がひどい会社がたくさんあります。

「◯◯の部署がこういうプロモーションをやるらしいんだが、俺全然聞いてないぞ!どうなってんだ!」

「宣伝部の◯◯が電通と勝手に話して予算申請を通してるらしいがそんなの俺は認めないぞ!!」

そんな言葉が飛び交ってるのが日常茶飯事で、社内の人間を蹴り落とすだの蹴り落とされただの役職を外されただのあいつ常務に気に入れられてるからってうんぬんかんぬん、みたいな話が毎日のように起こっております。


そんな中で「そもそも社内が今どういう状況でどうなっているのか」がわからない社員がたくさんいるクライアントがおるわけです。

しかもそれを「社内の人間に気軽に聞くことができない人間関係」が蔓延しているのもクライアントには多いわけです。



なのでキャシーも代理店時代にはクライアントから様々な相談をされたことがありました。

「うちの◯◯が昨日御社と会ってたって聞いたんだけど、何を話したの?教えてよ」

「なんかうちの◯◯が先週と言ってることがまるっきり違うんだけど、キャシーさん、何か◯◯から聞いてる??」


などなど、「いやいや、御社のその人に直接聞けばいいじゃないですか」と思うことが多々ありましたが、大企業になればなるほどこうした社内でのコミュニケーションが枯渇している会社が散見されたように思えます。


総合代理店としては一応外部事業者として「フラットな」立ち位置にいるので、宣伝部のいろんな人からちょこちょこ話を聞いて、彼らの部署における横断的な情報がある程度集約されてるんですね。
ヘタしたらクライアントよりもクライアントの内部事情に詳しい、なんてのが往々にしてあるわけです。


情報を横断的に持っている代理店は、クライアントの誰もがハッピーになるようにうまーくその辺を調整して、メディアバイイングやプランニングだけでなくてそれこそ「あそこが痛い、ここが痛いと言って保健室に駆け込んでくる生徒のケアをする保健室の先生のように」うまく立ちまわるわけです。



どんなにアドテクが進化しても、ロジカルに考えたら非効率でおかしい、というようなことでも、結局は組織が人が作ってるのでそこに関してガッチリ握っている総合代理店の役割は大きい、ということですね。



こうなってくると、もはやなんでもかんでも代理店を批判するべきなのか、クライアントがしっかりしなければいけないのかわからなくなってきちゃいますね。









2014年5月16日金曜日

本当に優秀で頭がキレて話も面白い人はウェブ上では見つけられない。

こんばんは!今日は質問者さんへの回答ではなくキャシーなりの意見を書いてみようかなと。

題名の通りなんですが、ソーシャルメディアを中心にビジネスの世界で有名な人は多いんですけど、キャシーの経験からすると必ずしもそういう人が本当に仕事ができてすげー人かというと全てがそうだと当てはまらない場合の方が多い気がします。

逆に、これまで勤務した会社や取引先の方の中に、

「この人なんてすごい人なんだ!!こんな人がこの会社にいるならしばらくはまだまだこの会社大丈夫なんだろうなぁ・・・」

なんて思った人は、ソーシャルメディア上では結構沈黙を守ったり、たまーにランチに食ったパスタの画像上げるだけ、みたいなことが珍しくありませんでした。

当然といえば当然で、優秀で忙しい人はソーシャルメディア上に投稿するような暇もないですし(ひっぱりだこで本当に時間が無い人います)、ビジネスの深部に関わっているからこそソーシャルなんぞで拡散できない情報ばかりを抱えて極めてプロフェッショナルに仕事をこなしている人がたくさんいるということです。

例えばソニーは今業績が悪くてメディアで叩かれてますけど、やっぱりあれだけの大企業の中でも気を張って成果を出せる人って、社員の多さや組織の複雑さや社内バランスなど、様々な条件が絡み合ったその状況下でおいて、それでも「あいつは優秀だ」と思われてるわけですから、やっぱりかなりすごい人だったりするんですよ。 
(まぁそれでも大企業にいるんだからリスク取ってない。とか、起業してる人の方が価値を生み出すから偉いんだ!とかそういう議論は若干ベクトルの方向が違うんで今は言及しないですけど)


なのでよく学生向けのイベントなんかを見ていて思うんですけど、イベント登壇者って、大体同じなんですよね。 カリスマブロガーのほにゃららさんとか、元IT企業社長のなんたらさんとか、新しい生き方を提起しているたれべーさんとか。

いや勿論そういう人の話も面白いんですけど、ぶっちゃけそういう登壇者さん達ってある種「組織では使い物にならなかったので半ば追い出された」人とかもゼロではなかったりするわけですよ。
(じゃあ組織人が偉いのか!とかそういう議論は今はナシね)

で、皆が皆そんな有名人になれるわけではないし、実は学生とかがロールモデルとすべきは企業にいてめちゃくちゃ優秀で成果も出していて自己鍛錬も積んでいて、かつプライベートでも友人とかから信頼されているそういう人の話を聞くのも大事だと思うんですよね。 

でもそういう人ってなかなか世の中に出てこない。


またやたらソーシャル上で勢いがある人だったり、本を書いているからというだけで「なんかすごいんじゃないか」と思われている人は「たまたま、それが仕事に直結する」フリーランスの人だったり、PRとしてやっている場合も多分にあるのでまぁなんというか客観的に見たほうがいいのかなぁという感じです。


まぁ何が言いたいかというと、俺は起業するぜ!みたいな独り立ちするような人じゃなくて、その多くは企業に就職するであろう学生が本当にタメになるような人の話を聞きたい時は、イベントに来る有名人の話じゃなくて、社会人とかの知り合いの人に「大変お手数なんですが、御社で一番優秀だと思う人を紹介してもらえないでしょうか!」とか言ってみるのがいいのかもしれないですね。
多分忙しいしアポが取れない場合が多いんですけど笑

あんまりメディア(ソーシャルメディアも含む)に振り回されないで、本当に学ぶべきものがあるのはどういう人なんだろう、っていうのを常に自戒するのがいいっていうお説教じみた話になってしまいました。 ごめんなさい・・・。






2014年5月15日木曜日

就職活動を終え、大手総合代理店か外資IT企業に就職するか迷っております。 (読者さんからの質問 その5)

今晩は!
最近キャシーは歴史関係の本にハマっています。

歴史と言っても日本のではなくて、古代メソポタミアだったり古代アメリカ大陸の先住民の農作事情なんかを調べて妄想をふくらませております。
シュリーマンの「古代への情熱」という本も最近読んだんですが、この本(この人)皆さん知ってますか?

「トロイの木馬」という有名な作戦が展開されるトロイア戦争に関しては聞いたことある人がいると思うんですが、あれは元々古代ギリシャのホメーロスというおっさんが書いた「イーリアス」「オデュッセイア」という叙事詩に登場する一幕のお話なんですね。

歴史上これらの叙事詩は全て「空想のおとぎ話」だと思われていて、誰もそんなことに疑問を持たなかったのですが、このシュリーマンという人は19世紀に

「このトロイア戦争は実際にあったんだ!!僕はトロイアの街を発掘するぞ!!」

と幼少時に思い立って、そこから大富豪になって40歳くらいになってから実際にトロイアの街を発掘調査に乗り出すんですね。 神話ですよ? ありえないですよね。 
日本で言うと桃太郎の鬼ヶ島が実在するから見っけてやるぞ!っていうのと同じレベルです。


ところが、本当にトロイアの街が発掘されてしまいます。


「イーリアス」や「オデュッセイア」といった紀元前に書かれた「神話」を元に、本当に古代の街が発掘されてしまったんですね。

シュリーマンの情熱はすごいですね・・キャシーはその1000分の1でも見習おうと思いました。


さて、前置き長くなりましたが今日の質問です。





【質問】

就職活動を終え、大手総合代理店か、外資IT企業に就職するか迷っております。
文系のため、IT企業でも営業をやる予定です。

将来的には独立した働き方をしたいと思っているため、どちらに就職するとそのような道に近づけるのか、迷っています。(起業よりもフリーランスに憧れます)

エントリにもあったように、包括的にマーケティングをする経験が欲しいなら、代理店だとは思うのですが、若手に対しての裁量が小さいが故に、独立までの時間が非常に長いのではないか、と思っております。また、営業職で調整役に回ったところで、今後のキャリアにどう生きるのだろうか…と不安になります。

ITは自由闊達な雰囲気で魅力的な一方、エンジニアオリエンテッドな環境の中、個人として独立までするスキルが身に付くのか、が不安です。

もしよろしければ、アドバイスをいただけたらと思っております。
突然のご連絡失礼致しますが、よろしくお願い致します。






【回答】


大手代理店と外資IT企業なんですね、どこかはわかりませんが営業をやることが決まっている外資というと、目黒の会社とかでしょうか・・。

結構会社によっても変わってくると思いますが、将来独立する時に覚えて置いたほうがよいことがあって、

・大手に務めていて、何も仕事がないままフリーランスで独立する人はあまりいない

・逆に独立して順調に仕事がある人は、企業にいた時から独立するときのクライアントをつかんでいる

ということがあります。

まったく畑違いのジャンルで独立や起業するなら別ですが、例えば私の知り合いの方達は皆独立する前に元々働いていた会社のお客さんを引き連れてから独立→成功されてる方が多いですね。

で、その方達はみなさん総合代理店出身なのですが、かなり年数が経ってから独立されています。
なので、クライアントのコネクションや仕事がある状態で独立されたわけですね。

読者さんのお話をお聞きするに、文系で僕と同じ、言ってしまえば特別なスキルがない笑 学科だったりすると思うので、おそらく独立するとしたら「マーケティングコンサル」「ウェブコンサル」みたいな職種を考えているのでしょうか(デザイナーやクリエイティブ領域だとまた話が少し違ってくると思います)。

あと、前提として下記のようなことも考えられるので心の片隅においておいてください。



総合代理店:確かに大きい仕事があると、末端のつまらない仕事で何年もやらなきゃいけない場合がある(例えば超大手企業の新聞だけの担当とか結構つらいです・・)けれど、ものによっては金額が小さいけどその分自分で回せる仕事もあったりする。その中で、自分が考えた企画とか、仕事も2年目とかでもお金をもらってやれたりする場合はある。
 また大は小を兼ねるというように、大きい仕事をしておくと(歯車であっても)、その大きな仕事の仕組みがわかるので独立した時にその分大きな視点で考えられるようになったりする。


外資IT企業:会社によると思うけれど、アメリカ系企業だと新卒には結構ハードルが高い職場が多いです。会社名はキラキラなんだけど、いざ入ってみると意外とちいさーーい仕事しかやらせてもらえず、応用的な仕事は中途採用の人に任されていることが多い(特に営業とかはその傾向強い)。
 もちろん会社によって違うのだけれど、外資は日本よりも良くも悪くも研修等が充実していないので、かなり自立した新卒じゃないと結構たいへんだなと思う時がある。
 けれどその分、個人スキルとしては生き抜く力がつくので、同様の仕事を社外に出てもできるような自信を若いうちからつけられる可能性は大きい。



どこに務めるのか、どの部署に配属されるのかで全然考え方が変わってくるのですが、
もし電通か博報堂のどちらかに内定しているのであれば、僕としてはとりあえず新卒はそちらをオススメするかなぁという感じです。
 ただもちろんこれは外資IT企業がどこなのか?にもよると思います。キャシーとしてはシリコンバレーの勢いの良い会社だったらそっちのほうがいいなという判断もありえます。

 あとはさっき言ったように、フリーランスでどの仕事がしたいか、にもよるかなぁという感じです。
代理店出身だと個人のマーケッターとしては独立できるかもしれませんが、大手を相手にしすぎていると若くして独立してもなかなか仕事がレッドオーシャンで取りづらいのではと思いますし、なんだかんだでレガシーな広告業界はオジサン文化なので、若い人には厳しいかなと。
(クリエイターは別ですけど)。
 逆にITのほうは知識を身につけてある程度実績が出せば「知っている人間に仕事がくる」世界なので、若くとも独立してフリーランスで働くには良いかもしれません。


一旦、上記のようなことを踏まえて考えてもらえると嬉しいです・・・
なんか結論出せなくてすみませんね・・・。

しかし羨ましい悩みですね笑




2014年5月12日月曜日

新社会人~若手のうちに私がやっておくべきこととはなんでしょうか?(読者さんからの質問 その4)

どうもみなさん!

あまりにブログを更新してなくて、キャシー死亡説やキャシー冤罪投獄説など流れていたようですが、今日も元気にやっています!
ただ最近PS vitaの地球防衛軍というタイトルが面白くて若干寝不足気味ですけどね・・。


さて、今日も読者さんからの質問です。


《質問》


春から中堅代理店で働きます。

自分の中のゆったりとしたキャリアプランとしてゆくゆくは外資系代理店に転職し、よく言われるようなUP or OUTの環境で働きたいと考えています。

そこで質問なのですが、新社会人~若手のうちに私がやっておくべきこととはなんでしょうか?
なんとなく仕事をこなして、気付いたら何もスキルが身についていないようになるのが怖いです
配属は媒体部といわれています。

アドバイスお願いいたします。



《回答》

お返事遅くなりごめんなさい・・。

さて、4月からお仕事始められたと思うのですが、媒体部は楽しいですか?
キャシーも新卒は雑誌部に配属でした。希望とは全然違ったので残念でしたけど、でも良い経験になりましたし、
転職してからも非常にその時の経験が生きてますね!

まず「スキル」についてなのですが、我々のような「プログラムを書けるわけでもない、何か資格を持っているわけでもない」そんな文系野郎が身に付けるべき「スキル」ってなんだと思いますか?


この答え、非常にありがちでつまらないんですが、まず第一には

コミュニケーション能力

なのです。

意外といないんですよ、ちゃんと

・朝は元気にあいさつ!
・仕事中も活発に意見を交わして
・お客さんの言葉に真剣に耳を傾けて
・普段見聞きしていて気がついたことを社内に共有したり
・人付き合いがよくて、話を自分から積極的にしにいく
・年次もわきまえつつ、自分の意見をきちんと持っていて
人が見ていない所で業界の情報とか最新動向をちゃんと勉強してい

上記のようなことが出来る人。
まずはこれができるようになればほんとにどこでも通用する人材になると思います。
そして皆何故か新卒の頃は上記のような感じで頑張ってるのに、おじさんになると急に元気なくなるんだよね・・・おじさんこそ元気だすべきとキャシーは思います。


他にキャシーがあえて「スキル」というとするなら


・経営全般に関する知識
 →会社ってどういう風に成り立ってて、どういう風に動いているのか

・財務の知識
 →会社のお金ってどういう勘定があって、どう回っているのか

・英語
 →日本以外のマーケットや文化の異なる人とも仕事ができる


上記3つはやっぱり今後「あると本当にスキルになる」知識じゃないかなと思います。

コミュニケーション能力に上記の3つの知識があれば、キャシー的にはもう無敵なんじゃないのと思います。

なんでこの「経営」「財務」「英語」なのかっていうとですね。
これらの3つって、業界が違っても、国が変わっても、会社という物が成長するにおいての共通言語なんですよ。
(英語は国境を超えた場合ね)

なので、これらがわかっていると、業界が違くても「なぜその業界は景気がいいのか」「なぜその会社は落ち込んでるのか」なんてことがわかりますし、お客さんに対する時もやっぱり共通言語で話せるようになるんですね。

キャシー的には読者さんが、忙しい合間を縫ってまずはコミュニケーション能力を高めて、今ある仕事のプロになる(知識の上でも)ことを推奨します。その後で、本屋に行って「経営」「財務」「英語」の本なんかを読んでいくと成長できますし、文系ビジネスマンとしてはちゃんと「スキル」になります。

その中で、よりマーケティングを深めたいのであればマーケ関連の本を、ファイナンスに詳しくなりたいならそっち方面の本を読んでいけば今後仮に転職何かを考える際には非常に参考になるんじゃないかなと思います。


以上、少しでも参考になればと思います。

2013年12月28日土曜日

2005~2007年くらいに入社した代理店の人達が辞めだしている。


最近総合代理店の友人で転職しました、独立しましたという連絡を受けることが多い。

特に入社後大体5〜7年くらいの、ちょうどこれから中堅で現場をガリガリ仕切っていく立場になった人に多くなっているように思う。

ちょうどこの世代ってリーマンショック前の最後の代理店の春(売上でいうと前年比100%を越えていた。広告宣伝費も6兆円を突破していた時代)を謳歌していた最後の年代で、入社した時には割と景気の良い昔話を上司から聞かされていた世代だと思う。

その後2,3年で「あれあれ?」というほど業績が下降を続け、リーマンショックでトドメを刺された。 

先輩や上司がどんなに夢を語っていても「いやでも現実はさ。」とかなり冷静に状況を見てきた世代だと思う。

入社したばかりの2,3年はとりあえず必死で働いてみるのだが、5,6年も経ってきてだいぶ現実的な状況がわかってくると、

・このままこの会社で頑張る
・ある程度代理店ビジネスに見切りをつけて転職するか独立する

というところでビビッドに判断が分かれている世代なのだろう。

新しい道に進むことは悪く無いと思うし、代理店で培ったマーケティングスキルは前のエントリでも書いた通り、他業界では重宝される部分も多分にあるので(もちろんある程度磨かれている必要があるけれど)、僕は30前後の中堅社員がどんどん他業種に流出していったり、独立するのは良いことと思う。

もともと代理店は非常にスペックも高く発想が豊かなのに、こう言ってはなんだけど、配属された部署で不遇を味わっている優秀な人も多いと思うし。

そんなことを考えていた年末でした。





2013年12月27日金曜日

広告代理店に入社するのですが、インターネット以外の部署でもメリットはありますか?(読者さんからの質問 その3)



皆さん

メリークリスマス! メリクリ!

ということでクリスマスはインドネシアで過ごしたキャシーですが、見事に腹をくだしてしまい、メリークルシミマスでした(こっち見んな)。

久々の更新ですが、今回も非常に興味深い質問をいただきましたので、回答させていただこうと思います。


【質問】

私は来春広告代理店に入社するのですが、インターネット事業部を志望しようと思っています。
インターネット事業部が最適な選択肢だと考えている理由は、新規事業を立ち上げるにしても、小資本で始めるため、広告を打つときは、インターネットがメインになるだろうということで、知識、スキルが活かしやすい。海外に行ってもインターネット広告の知識スキルは汎用性があるのではないかと考えているためです。

そこで、質問なんですが、大きなクライアントを担当し、大きな予算でテレビ広告などを作ることに携わることは、インターネット事業部で身に付く実用的で汎用性のある知識・スキルよりメリットがあるでしょうか?
また、マーケティング事業部が良いなど、私の考えている選択肢以外でより適当な選択肢がいいとお考えになる場合は是非教えてください。




【回答】

非常に鋭い質問をありがとうございます!
早速ですが回答させていただきます。

まず質問者さん自身が「今後どういうキャリアを積んでいきたいか」というところが肝要になるわけですが、新卒の間から自分のキャリアについて明確な答えを持てる人なんていないわけなので、まあ現時点で決めておく必要はありません。 

また日系企業の場合は部署志望を出したとしても人事上の都合で「まったく興味のない部署」に配属されることもあります(でもそこが本人からしたら良い部署になる場合もあるよ)。 なのでまずは「与えられた部署で1番の成績を残しつつ」、「会社や業界の構造がわかってきたら社内で別のプロジェクトにjoinしてみる」という意識を持っておきましょうということが、大前提としてお話しておくべきことと思います。


さて、キャリアについてなのですが、結論から言うと、

大きなクライアントを担当し、大きな予算でテレビ広告などを作ることに携わることは、インターネット事業部で身に付く実用的で汎用性のある知識・スキルと同様にメリットがあります」。

ここでいう「大きな予算でテレビ広告などを作ることに携わること」という範囲では狭い領域になるのですが、より広い視点で、

「大きな予算を使って企業のコミュニケーションを包括的にプランニング・実施した経験があることは後々貴重になる」

ということは言えると思います。

キャシーが総合代理店から外に出てみてわかったことですが、企業コミュニケーションをテレビなどを含めてトータルにプランニングしたことのある人材はマーケットにおいて非常に少ないのが現状です。それもできればクリエイティブやマーケティングといったスペシャリティな部署よりも、「営業」や「クロス・コミュニケーション」といった、メディアや施策全体を俯瞰してハンドリングできるような部署がいいのではと思っています。

ただ、それだけではこれまでの代理店社員と同じなので、是非是非デジタルの知識・スキルも身につけていってください。
マスの広告をやりながら、特に若い人であれば率先して、その包括的な施策の中でデジタルの施策を手を挙げてやらせてもらい、例えば営業やコミュニケーションプランナーとして、代理店が今後取り組んでいかなくてはいけない「新しいデジタルの施策」についてチーム内では誰よりも知っている・経験がある、といった立場になることをオススメします。

先ほど「人材が少ない」と申し上げましたが、そうしたマスの経験も積んで、かつデジタルのことを話せるような人間は、代理店はもちろんですが、「代理店の外でも」非常に貴重な人材になります。

ただ仰るとおり、海外に行けばマス広告の展開などは日本とはまったく環境も事情も違うので、そういう意味ではインターネットの部署で汎用的なスキル・経験を積むことは確かに必要だと思います。要はキャリアの選択次第で志望部署を変えるべきだということですね。

まとめると、

・日本国内でキャリアをまず積んで、マスキャンペーンへの造詣も深くかつデジタル施策についてもわかっていて、国内で次のステップアップを狙うのであればまずは営業やクロス・コミュニケーションなど全体の統括が担える部署に。

・速攻で海外に言って新しいことに取り組んでいきたいのであればインターネットの部署


なのかなぁと思います。ただこれは結論のない議論なのでなかなか難しい問題です。

特に大きな総合代理店であれば海外にいける人間もやはりマス広告経験者が圧倒的に多いのが特徴です(総合代理店におけるデジタル系人材はそもそも日本国内での需要が逼迫しているので、海外に行く人をあまり知りません)。

仮にキャシーが今絶対に広告代理店に入社しなければならないという状況だとすると、まずはマス関連の広告を包括的にプランニング・実施する部署に言って経験を積むかなと思います(そもそもそういう仕事ができるのって総合代理店でしかできない醍醐味だったりするしね)。そういう部署は社内の各部署の仕事内容や機会について俯瞰できたりもするので、そこから自分に合った部署に数年後に異動希望を出すのがいいかなと考えます。


散文的な感じできちんとお答えできていないかもしれませんが、ご参考までに!



2013年10月3日木曜日

広告代理店に入社する人って、どれくらい「広告が好き」なんですか?  (読者さんからの質問その2)

こんにちは、キャシーです。本日も読者さんからの質問にお答えします。




【質問】
はじめまして、現在大学3年生です。ブログ楽しく拝見させて頂いております。

ちょっと前に、カンヌの受賞作を見始めたのですが、
カンヌの受賞作を見て、感動を覚えました。先日とある広告代理店のインターンシップの選考を受けてきたのですが、みんなカンヌを知らなくて少し不安になりました。

実際の話、広告代理店で広告好きってどのくらいいるんでしょうか
(広告好き:世界の広告賞を一通り知っているような層)

それと、日本だと主に電通の受賞が多いような気がしますが、現場の感覚では、カンヌなど広告賞はどのように見られているのでしょうか?

よろしくお願い致します。



【キャシーからの回答】


カンヌの受賞作、いいですよね。
僕もDoveのEvolutionっていうCMを見た時は鳥肌が立ったのを覚えています
(2007年くらいだったかな・・?)

広告代理店の広告好きがどれくらいるのか?という話ですが、
僕の印象だと、「広告賞を取った作品まで結構知っている」という人は
一部の人達、特に「クリエイター」と呼ばれる人達に多かったように思います。
それ以外の人は実はほとんど広告知らなかったりっていう人も新卒ではいたりしますね。いや、おじさんの方がクリエイティブの受賞作とかを知らない人は多いかな・・・・


原因は2つほどあると思うんですが、

1つ目は、
やっぱり未だに広告の仕事って「なんかよくわかんないけど楽しそう」「給料が良さそう」という理由で入ってくる学生も多いのですね。
広告が大好き!ってワケじゃないんだけど、めちゃくちゃ頭良いし、学歴も立派だから、するするっと採用を通っちゃう様な人。
そういう人は基本的に「ビジネス」としての広告業については興味あるけど、あまり広告「クリエイティブ」のカンヌがどうこう、っていう話は全然知らなかったりします。

2つ目は、
広告の仕事って外から見ると非常にクリエイティブな仕事に見えるんですが、
実は「カンヌに出すような広告を作る広告クリエイター」っていうのは会社の中でも非常に僅かな人達なんです。
というのも、広告の仕事って「広告を作る=クリエイター」の仕事以外にも、


営業部→お客さんとの予算管理を調整してチームを動かす人
メディア部→お客さんの広告を載せる媒体を買い付ける人
マーケティング部→お客さんへの提案のロジック・ストーリーを考える人
プロモーション部→イベントなんかを取り仕切る人
デジタル部→インターネットのプロモーションを考える人
クリエイティブ部→実際にお客さんの広告を「作る」人(絵を描いたり、コピー考えたり、撮影したり)

なんていう感じで、大半の人達はクリエイティブ部の仕事じゃない人達なんですね。

カンヌとかって、あくまでも「クリエイティブ」に特化した(まあ最近はそうでもないんですが)賞なので、カンヌの主役は「クリエイター」の人達なんですよ。そうすると他の部署の人達は、まぁ自分が手がけた仕事が賞とったら営業部の人もマーケティングの人も嬉しいですけど、他のカンヌ作品まで全部知っておこう!ってほどモチベーションは高くないですよね。


あとカンヌで賞取ることがどう見られるかっていう部分ですが、
クリエイターにとってはめちゃめちゃ重要です。これで人生の稼ぎ金額が変わるっていうくらい大事なものです。


なんでだと思いますか?


たとえば、質問者さんもよくこういうこと思いませんか?


「テレビでやってるダメダメなCMなんかより、自分の方が面白いCM絶対に作れるはず!」


つまり、それくらいクリエイティブって「スキルや実績が数字や目に見えない」から「曖昧」なところがあるわけです。


じゃあお客さんって、誰に広告クリエイティブを発注するべきなんでしょう?


カンヌで賞取った人と、何も賞がない人。
朝日広告賞取った人と、何も賞がない人。
ヤフークリエイティブアワードで賞とった人と、何もない人。


そりゃ前者のクリエイターにお願いしよう、ってなりますよね。
なので、クリエイターにとって「賞」っていうのは仕事を呼び込むために
めちゃめちゃ重要なのです。

売れないクリエイターは厳しいことを言うと、大手代理店に勤務してるのになかなか仕事の案件がない、みたいになる人もいるわけです。


長々となってしまいましたが、そんな感じですね。

ただ最近はお客さんもシビアになってきていて、
広告を作って感動させるだけでいいのか?ってなってきています。
広告の目的ってあくまでも最後はモノを買ってもらうためにやるわけなので。

そういう意味で、最近はインターネットを使った広告クリエイティブが注目されています。 昔ながらのクリエイターの人達はネットがよくわからないので、ここがわかるっていうだけで結構重宝される時代に入ってくると思いますよ。 


以上、少しでも参考になれば嬉しいです!