2013年5月18日土曜日

大手広告代理店のお給料事情

世の中では電博を中心に「広告業界は高給取り」のイメージが強いですね。
ところが最近ではその事情もだいぶ変わってきたようです。

バブル時代を謳歌して、2000年代の初頭までは確かに給料が高かった広告代理店。

よく「電通は30歳で1000万円」「博報堂は30歳で800万円」などと言われていたものですが、最近では広告業界の市場低迷によって、電通でも30歳で800万円台。博報堂でも6,700万円台というのが現実らしいです。

電通に勤める20代の私の知り合いも最近「給料が高いって言われてたのは今40歳以上の人達までで、俺達の年代は業務量が大変な割にほんとにこのまま伸びるのかなって思うよ・・。同じくらいもらっていて、帰りが早い会社とかは他にいくらでもあるんだよな・・」とボヤいていました。


理由はいくつかあると思いますが、


1.クライアントの予算配分が利益率の低いネット広告や、自社メディア開発などに割り振られるようになり、代理店の利益率が低下している。

2.国内の消費市場の飽和によって、クライアントが海外進出に資金を割いている(ただし広告は現地代理店に任せるために、日本の代理店には仕事がこない)。


1に関して、まさに最近では、インターネット広告が2012年には電通調べで8680億円、新聞広告の6242億円をとうにリードしてしまいました。大体、広告代理店がクライアントから徴収する手数料は新聞で20%、インターネット広告で15%と言われていますが、

例えば100万円の出稿をクライアントからうけた場合、単純に新聞であれば20万円儲かっていたところが、インターネット広告では15万円しか儲からなくなる。

しかも新聞広告の場合は原稿を一度新聞社に送ってしまえば掲載で終わり、だったところが、インターネット広告の場合はバナーを作って入稿してからもチューニングを続けたり、その後のレポートを出したりと、利益率が低い割に、作業量が非常に多くなるんですね。これによって利益率が低下してしまうわけです。


2の理由については、特に電通、博報堂が得意とする「有名クリエイターを起用した大型のマス広告キャンペーン」というのは、「日本」という地理に根ざした文化を知っているからこそ、優位性を発揮できる仕事でした。

日本人が面白い、と思うツボ。 日本人がこのCM素敵だね、と思うツボ。

日本人から共感を得るための広告を「日本人が作る」ことで強みを発揮してきたのがこれまででしたが、例えばある自動車会社がインドで低価格の車を新発売した時、やっぱり彼らに響く面白くて心に通るような広告を作れるのは同じインドの人だったりする(もちろん、グローバルで活躍するクリエイターはたくさんいます)のが現実なのですね。

なので、クライアントの企業規模自体が大きくなっても、なかなか電通・博報堂には仕事がこないような構造。加えて日本のマーケットは縮小したり停滞している業界もあるので、益々売上・利益が低くなってしまうのです。

電通・博報堂が高給と言われてきて、なかなか厳しい時代を迎えていることがおわかりいただけますでしょうか。

もちろん、他の上場企業に比べれば彼らがまだまだ高給取りなのは事実ですが、ここ数年の上げ下げの幅をみてみると、楽天やサイバーエージェントといった会社が確実に平均年収を伸ばしているのに対して、電通・博報堂は下がり続ける一方・・・。

今後はインターネット企業が電通・博報堂に取ってかわる高給企業となる時代がくるのかもしれませんね。




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