今日は総合広告代理店の仕事内容について書いてみたいと思うのだけど、キャシーも学生の頃は広告業界に憧れていて、その理由はやはり当時は高給の代名詞みたいな存在だったし、なんとなくアイデアを形にして世の中に大きくどーんと知らしめる、みたいな仕事っていいなぁと思ってたんですね。
元々音楽や美術、文学にも興味があったのでなんとなくArtisticな分野の仕事に就きたいな、という思いがありました。
そんなキャシーが広告代理店に入ってびっくりしたのが
総合広告代理店ではたらく=クライアントのためにソリューションを提供する
というよりは
総合広告代理店ではたらく=どれだけメディアを売るか。
という仕事に終始することだったんですね。
いや、そんなの電通・博報堂の決算を見たら一目瞭然なのですが(入社前にちゃんと調べとけよって話なのですが)、大体どこの広告代理店も6~7割くらいは
テレビ
新聞
雑誌
ラジオ
インターネット
の「メディアの売上」で稼いでいるわけです。あとはそこに掲載するための広告クリエイティブ制作費。
「広告代理店は、メディアを売ることで食っている。」
「広告代理店は、メディアを売ることで食っている。」
まぁさすがに「アイデアを世に問う」だけで仕事しようとしていた自分は子供だったなぁと思うわけですが、基本的には「総合広告代理店=メディアを売る会社」なわけですね。
なので、メディアを売れる人間がやっぱり強いし評価される。
昔は広告効果の測定方法もそこまで充実していなかったし、経済が伸びていたからクライアントとの人間関係で仕事が回っていたわけです。そりゃ広告の効果が明らかに全くない、というのは問題だけれど、そもそも掲載するメディアも少なかったということで、ロジックがうんぬんかんぬん、ではなく「いかにクライアントに気に入ってもらいながらメディアをお買い上げいただくか」であったわけです。
よく広告代理店の真髄は「クライアントのために最善を尽くすこと」と良く言われるわけですが、その”最善”はテレビを買うことであって欲しいんです。だって儲かるから。
テレビ買ってもらわなければ新聞を買って欲しいし、新聞が無理なら雑誌を買って欲しいし、雑誌がダメなら・・・まぁ、ラジオはいいとしてインターネットを買ってほしい。それもできればYahoo!のトップのブランドパネルを買って欲しくて、間違ってもGoogleのAdWordsに出稿したいなんて言って欲しくないわけです。
コミュニケーション・プランニングなんたら・・とか言ったり、ソーシャルメディアうんたら・・・みたいな部署も最近増えてきていますが、なんのことはない、最終的にはおっきなテレビ・新聞とかを買ってもらうための外堀を埋めるための部署だったりするのもある面では事実。
そもそもの「マーケティング」も「最適なプロモーションを構築するためのマーケティング」ではなく、「いかにテレビを買ってもらうかのマーケティング」だったりするのです。
プレゼンの時でも、前段のマーケティングの説明が非常にロジカルで納得感のある説明だったのに、「それでは、実施するプランをご紹介させていただきます」と言った瞬間に、
「テレビを買いましょう!」
「新聞を買いましょう!」
「雑誌を買いましょう!」
となっていて、「ズコーッ!」とずっこけてしまうことも多いのです。
「代理店」というのは「クライアントの代理」ではなく、あくまでも「メディアの代理店」であって、ソリューションありき、というよりはまずメディアを売ることが前提です。それがあって、ソリューションが成立します。
まぁ、ここでキャシーが書いていることなんてこれまでもたくさんの人が何回も言及してきたことなわけですが、マーケティング課題に対して色々な施策を巡らせていたら、
「そもそもメディア買わないでいいんじゃないの?」
という選択肢も検討されうる考えだし、でもそんなことロジックまとめて提案しようとしたら上司から(しかもあなたがメディア担当部署に配属されているのであれば)
「お前はバカか?」
と言われてしまうのは目に見えているので、なんとかメディアを買わせるような方向にもっていかなければいけない。
というと聞こえが悪いのですが、そもそも広告を売るのがビジネスなのだから、少しでも買ってくれる可能性があるメディアの枠を売るのは当然でもあり・・・難しいですね。
言い過ぎでしょうか?確かに言い過ぎだと思いますが、実際にキャシーがあるメディア部署にいた時に、
「○○さん(先輩の名前)、これってこのメディアじゃなくてこういう施策の方がお客さんとしてはいいと思うんですが、どう思いますか?」
「は?何いってんの?あんたその案件、他の部署にフラフラ渡したりなんかしたらぶっ飛ばすからね。」
と言われたこともありました。
そりゃその部署はそのメディアを売ることが目的の部署なんだから、まぁ当然ですよね。
ということでキャシーは冴えないやつだったのです。
「○○さん(先輩の名前)、これってこのメディアじゃなくてこういう施策の方がお客さんとしてはいいと思うんですが、どう思いますか?」
「は?何いってんの?あんたその案件、他の部署にフラフラ渡したりなんかしたらぶっ飛ばすからね。」
と言われたこともありました。
そりゃその部署はそのメディアを売ることが目的の部署なんだから、まぁ当然ですよね。
ということでキャシーは冴えないやつだったのです。
もちろん、最も良いのはマーケティングロジックやコミュニケーションデザインが秀逸、さらにメディアバイイングと組み合わさって、しかも効果が良い、なんていう魔法のようなキャンペーンなわけですが、なかなか皆が皆激務と提案の締め切りが迫っている中で、そこまで練りに練った提案が出来る人も少ないという事情もあります。
なんか批判的な文章になってしまいましたが、IT企業でも広告に携わっていたキャシーからすると、リスティングのようなコンバージョン地点がはっきりしているウェブ広告よりもロジックがどうしても薄くなりがちなマス広告のところで、ドシッと構えてメディアの枠を切り売りできる総合代理店のパワーというか胆力みたいなのってやはり他の業界とは一線を画していて、そこはウェブ企業がやっぱり太刀打ちできないところってのはあると思うんですね。
なので、個人的にはやっぱりマス広告を経験した人はどんどんウェブ業界に飛び込んで、そこで全方位的に提案・話ができる人になるのが良いのではないかなーと思っています。