おはようございます、キャシーです。
昨日はお客さんと会食でした。
某電子書籍サービスのお客さんだったのですが、ここ数年で市場が変わりつつ有るという話で盛り上がりました。
元々日本の電子書籍サービスはその売上の8割以上がアダルト、いわゆる「エロ漫画」の分野でして、ガラケー時代にはそうしたサービスをiモードビジネスで提供する会社がもの凄い成長を遂げていたわけです。
市場としても下記の通り、昨年は729億円と前年から100億円の伸び幅を記録しております。
確かに最近電車の中でも電子書籍読んでる人増えてきましたよね。
ところが問題はこの「100億円の成長」をどこがかっさらっていってるのか?という問題なのですね。
市場の伸びを牽引しているのは間違いなくエロ漫画ではなく、いわゆる”ブラックジャックによろしく”や”進撃の巨人”などを中心とする「一般コミック」、あとはビジネス書や小説などの「一般書籍」となっています。
昨日話をしていたお客さんも市場の伸びは実感しているのですが「思ったよりも自分の会社の売上が増えない」と言っていました。
市場が伸びているのになかなかそれを実感できないと言うのですね。
理由としてはいくつか考えられると思いますが最も可能性の高いものとしては
・100億円の伸びは限られた数社によって握られている
というところではないでしょうか?
現状はキングジム、FC2、任天堂など本当に多くの企業が電子書籍事業に参入してきていますが、プレイヤーが多くなるばかりで実は「コンテンツの差異化ができない」というのが事実なのですね。
つまりAという電子書籍サービスで買った本がBというサービスでは買えない、ということがほとんどないのが電子書籍事業なわけです。
コンテンツ供給側の出版社や作者は「売れればどこで売ってくれてもいいよ」というスタンスなのは当然なので、そうすると自ずと既にユーザーを抱えている電子書籍サービスが独占的に事業展開することが可能となるわけです。
もちろん、その最前線にいるのがアマゾンのKindleには間違いありません。
これまでガラケービジネスから派生してスマートフォン等でも電子書籍サービスを始めた会社などは、元々が「コミック主体」のビジネスでした(その中でもエロ漫画が牽引していたのは前述のとおり)。
そこにアマゾンのような一般コミック、一般書籍をメインに打ち出して、しかも既存のアマゾンサービスからのユーザーを囲い込んでいる状態。
しかもKindle使ってことある人は知ってると思いますが、「Kindleストアはエロ漫画の品揃えも豊富」です。
こうなってくるとユーザーからしたら
「Kindle使ってりゃえーやん。」
となってしまうわけですね。
電子書籍業界は伸び調子と叫ばれていて、2012年がいよいよ本格化する「電子書籍元年」の正式な年になったと言われていますが、ここ1~2年で一気にサービスの「勝ち・負け」がハッキリしてくることでしょう。
日本勢の動きが遅きに失した結果、こうした事態になってしまったのはある意味では当然なのですが、ユーザーからしたら国産サービスだろうが海外サービスだろうが便利で使いやすいサービスに傾倒するのが当然。
既にアマゾン独り勝ちの様相を呈してきた電子書籍業界。
日本勢にいたってはいつまでも「アマゾンとうちは違う」という論調を張ってはいるものの、どうにも形勢が大きく変わるのが2013,2014年となるのは間違いないでしょう。